「寒いなあ」
「もうすぐ12月だもん。寒くないわけがないよ」
マルスは苦笑しつつ、両腕を摩りながら口を尖らせているリンクを諭す。
暇だからなんとなく、という理由で2人は寒空の下草原をふらふらと歩いていた。
空はどんよりと曇っていて、グレーの雲が日の光を遮っている。
寒いのなら屋敷に戻ればいい。頭の中ではそうわかっているけど、どちらもそれを口に出すことはなかった。
「もうすぐ1年終わりって考えると早いよね」
「まぁな」
「来年の今頃は何してるかな?」
頭の後ろで手を組みながら歩くマルス。
これから起こり得ることを想像して少し楽しみになってみたりしながら、「ねぇリンク」と笑って振り返る。
しかしマルスの目に入ったのは、少し離れた場所で立ち尽くすリンク。
いつの間にか置いてきてしまったのかとマルスは慌ててリンクの元へ駆け寄った。
「どうしたの?」
ごめん、と謝りつつ、少し屈んで俯いているリンクの顔を覗き込む。
マルスの方が背が高いから、こうしなければリンクの顔がわからなかった。
「いや…なんかさ、来年のこと考えると…」
「?」
「不安になるっていうか…」
少し顔を上げたリンクがあまりにも悲しそうな顔をしていて、マルスは正直驚いた。
自分はまだ見えぬ未来に対してあんなにもわくわくしていたというのに。
「どうして?」
「どうしてって…」
少し首を傾げつつ聞いてくるマルスに面食らったのか、リンクは困ったような顔をする。
眉を下げ、いつものリンクと違って随分頼りない感じだ。
彼はたまにこういう顔をするのだが、マルスはそんなリンクの表情が結構好きだった。
理由はわからないけれど。リンクはそんなマルスの気持ちを知るはずもなく、視線を泳がせながら、
ぎこちなく言葉を紡ぐ。
「上手く言えないけど…。今みたいな日々はいつまで続くのかなって思うと不安になる」
「………」
「人の気持ちって、移り行くものだろ?だから、いつかは皆から見放されてしまうのかなとか思って…」
語尾になるにつれて、弱弱しい声になっていく。
まるで怒られた子供みたいだった。今彼が狼であれば、間違いなく耳と尻尾は垂れているだろう。
別にリンクは悪いことなどしていないのにな、とマルスは思う。
どうやら彼は神に選ばれし勇者のくせにペシミスティックな思考があるようで、見えない未来や自分が
嫌われるのではないかということを恐れているのであった。
マルスはどちらかと言えば楽観主義者なので、そんなことなど微塵にも思ったりしない。
というよりも、考えるだけ無駄だと思っているし、いちいち恐れていたら何も出来ないからだ。
「確かにそうだけどさ。でも今からそんな暗くなってたらダメだよ」
「そんなの、俺だってわかってるんだけど…」
「それにさ、仮に世界中の誰もが君のことを嫌いになっても、僕が傍にいてあげるから」
ね、と言ってマルスは笑う。零れるような笑みだった。
それでも何処か優雅な雰囲気が漂っているのは、やっぱりマルスが王子だからなのだろうか。
リンクはなんだか恥ずかしくなって、顔を赤くした。
「よくそんな恥ずかしいこと平気で言えるな」
「そう?」
でもリンクにしか言わないよ、と言われ、なんと返したらいいのかわからなかったリンクは
小さく頷いた。俺、どうして頷いてるんだろうと思いながら。
冷たい風が吹いて、灰色の空に枯葉が舞う。
「帰ろうか」
寒くなってきたし。マルスの言葉にリンクは頷く。
そんなリンクを見て、マルスはぷっと吹き出した。
君、頷いてばっかだね。笑いながらそう言うと、リンクは無意識に頷いてばかりいたこととからかわれたことが
恥ずかしくて再び顔を赤くした。「だって!」と口から出るものの、言葉は途切れる。
「ごめんごめん。可愛いよ」
「可愛いって言うな!」
真っ赤になりながら叫ぶリンクを見て、マルスはクスクス笑う。
照れ屋さんだなあと言おうとしたが、もっと怒られそうなのでやめておいた。
その代わり、リンクの手をとって自分の指と絡める。
リンクは一瞬びっくりしてマルスを見たが、マルスと目が合って微笑まれると
恥ずかしそうに俯いて自分の指を絡めた。
そして僕は世界を愛す
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マルリンに見えないけどマルリンなんです!(主張)
王子は王子だからキザな言葉もさらりと言ってしまうのである(・∀・)
そしてリンクはどんだけ恥ずかしがってるのかというww
乙女な勇者でごめんなさい。もっと漢らしくしたいのに…。
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