現代設定。
2人は14歳くらいってことにしておいて下さい(・∀・)








このまま、ずっと一緒にいられると思っていたのに。







Unforgettable







「俺、転校することになったんだ」

「えっ……?」


アイクの言葉が理解できなくて、リンクはただ呆然とした。
焼け付くような暑さの中、言葉を交わさずにお互い立ち尽くす。
転校―その言葉の意味を知らないわけじゃない。
ただ、どうして突然アイクがそんなことを言い出したのかがリンクにはわからなかった。


「転校って何だよ…」

「父さんの仕事の都合で、引っ越さなきゃならなくなったんだ」

「そ、そっか」

「それで、明日この町を発たなきゃいけない」

「明日…!?」


リンクは驚きのあまりに目を見開く。
それはあまりにも突然すぎた。
明日だなんて、あと24時間もない。
2人に残された時間は本当に僅かで、こんなことしてる間にもどんどんと時間は過ぎていってしまう。


「明日って…!なんでもっと前から教えてくれなかったんだよ!」

「……ごめん」

「なんだよ…謝ればいいってもんじゃないだろ……!」

「…………」


アイクは申し訳なさそうな顔をして黙り込む。
それが余計にリンクの神経を逆撫でし、珍しく声を荒げる。
遠くで鳴いている蝉の声が酷く煩わしくて、リンクの苛立ちを促していく。
本当はこんなことが言いたいわけではないのに、口から出るのは自分の思いに反する言葉ばかり。
いけないとわかっていても、止めることが出来なかった。


「アイクのこと親友だって思ってたのは俺だけだったんだな」

「っ!リンク、違うんだ!」


アイクはリンクの手を掴もうとするが、リンクはそれをぱしっと払いのけた。
行き場を失ったアイクの手は虚しく宙を舞う。
普段の温和なリンクからは想像することが出来ないほど今のリンクは苛立っていて、アイクにはそれがショックだった。
決して彼のことを怒らせたかったわけではない。
ただ、伝えるのが辛かっただけだったのに。
アイクは自分の情けなさを悔いた。


「俺の話を聞いてくれ!」

「もう知らないよ!早くどっか行けばいいだろ!」

「っ………!」


アイクの顔がカッと朱に染まる。
そして次の瞬間、アイクはリンクを殴っていた。
殴られたリンクはよろけて尻餅をつく。
幸い唇の端に拳が入ったためリンクは歯は折れずに済んだものの、殴られた部分が燃えるように熱かった。
殴られた所を手で押さえながら、リンクはアイクを睨みつける。


「何する……っ…!」


「何するんだよ」
そう言いかけて、リンクの言葉は途絶えた。
見上げた先に見えたのは、アイクの頬を伝う一筋の涙。


「アイ…ク……?」


あまりに突然の、しかも予想外の出来事に対してリンクが出来るのは彼を見据えるだけだった。
アイクは力が抜けたのか、がくりとリンクの前に膝をつくと、両手を膝の上に置いて俯く。
次の瞬間、ぱた、と手の甲の上に涙が落ちた。


「俺だって、好きで黙ってたわけじゃない…」

「………」

「けど、言葉にしたら、本当にリンクと離れてしまうと思ったから…」


それは生まれて初めて彼が見せた弱さだった。
リンクは何か辛いことがあると、すぐにアイクに泣きついては励ましてもらっていた。
男が泣くなんて、と思うが、彼の前では全てが別なのだとリンクは思っている。
そしてそんなリンクとは対照的に、アイクは人前はおろか、リンクの前でさえで泣くことなんて絶対になかった。
「アイクは強い」と言ってしまえばそれだけかもしれない。
なのに、今目の前で肩を震わせているのは紛れもなくアイクであって、こんな彼を見るのは初めてだった。


「アイク……」

「っ、く……ぅ……」

「ごめん………」


リンクも体勢を直してアイクのように膝をつくと、目の前の身体を震える手でそっと抱き締める。
アイクは驚いて、小さく眼を見開いた。


「ごめん。ごめんね」


何度も何度も、うわ言のように繰り返す。
自分のちっぽけな頭じゃ、他にかけてあげられる言葉なんて思いつかなかった。
アイクのように、励ますことが上手なわけじゃない。
「ごめん」と謝って、抱き締めてあげるのがリンクなりの精一杯だった。
口から言葉が零れるのと同時に、リンクの瞳からは涙が零れて頬を濡らしていく。
アイクは何も言わず、リンクの背に腕を回して彼の華奢な肩口に顔を埋めた。





* * * * *





「結構遠くに行っちゃうんだな…」

「父さんの仕事の関係だからな……」


すっかり日が暮れて、辺りは夕陽色に染め上げられていた。
泣き止んだ2人は、河原の土手に座り込んで目の前のオレンジ色の川を眺めていた。
さっきはうるさかった蝉も今ではすっかりいなくなり、音一つしない。


「俺、アイクに手紙書くよ」

「ああ」

「電話もする」

「うん」

「だから、俺のこと…忘れないで……」


今にも泣き出しそうな顔。
彼は本当に繊細だと、アイクは思った。


「ああ。絶対に忘れない」


その言葉にリンクは小さく頷いて、瞳を伏せた。




さようなら、今日。
こんにちは、君がいない明日。


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幼少時(?)アイリン。
ZONEの君がくれたものをイメージソングに(´ω`)

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