それは、ほんの一瞬の出来事だった。







の病は3秒間








ああ、どうしよう。緊張して心臓が飛び出そうだ。
とりあえず、気持ちを落ち着かせるために深呼吸をしてみる。
今日は僕にとって初めてのチーム戦の日だった。
しかも同じチームがリンクさんときたもんだ。
リンクさん!あのハイラルの勇者のリンクさんが僕と同じチーム!
ああ、どうしよう。
いやどうしようもないのだけれど。
更衣室の隅っこで、一人でもんもんと考え込む僕は傍から見たらおかしかったかもしれない。


「ピット!」


名前を呼ばれて、振り返る。
すると、そこには青い衣を身に纏ったリンクさんの姿があった。
そう、僕達は今日青チームだったのである。
当然僕も青い服を着ているわけで。


「俺達一緒のチームだよな?よろしく」

「こ、こちらこそ!よろしくお願いします!」


そういって、ぺこりとお辞儀をする。


「僕、チーム戦って初めてなんで迷惑かけるかもしれませんけど…」

「そんなの気にするなよ」


眉を少し下げて、ふふっと笑う。
一つ一つのパーツが整っているから、苦笑した顔でさえカッコイイ。
どうしてだろう。ここ最近、彼を見るとドキドキする。
いつからかなんて覚えてない。
胸が苦しい?というか、なんだろう。
気がつけば目で追っていたりする。
リンクさんが僕のことを見ているわけじゃないのに、僕が一方的に見ているだけで良かった。
ああ、僕変なのかな。


「ピット?」

「え?あ、はい!」

「考え事か?なんか難しい顔してたぞ」

「あっ、いや、違うんです!考え事なんて…」


貴方を見ると胸がドキドキするんですけど、どうすればいいですか?
なんて聞けない。
そんな僕の心の中なんて知る由もなく、目の前の人は微笑んだ。


「そっか。頑張ろうな」


その青い瞳に吸い込まれてしまいそうで。
「じゃあ、後でな」と言って去っていく後姿を見て、また鼓動が速くなるのを感じた。
この気持ちは何だ?





* * * * *





対戦相手はネスとマルスだった。
僕達は青チームで、彼らが赤チーム。
弱い相手じゃないが、決して倒せない相手でもない。
リンクさんの足手まといにならないようにと思いながら、戦闘に挑んだ。

が。

やっぱり慣れ不慣れがあって、落ちてくるアイテムを上手く使うことが出来なかった僕は
気がついたらパーセンテージが100を超えていた。
当然、数字が大きい方が飛ばされやすくなる。
僕は出来るだけ攻撃をくらわないようにしながら、近い距離にいるマルスにダメージを与えていった。
そんな時、ボム兵を持ったネスが高くジャンプしているのが目に入る。
あっと思った瞬間には、彼はボム兵を放り投げた。


「しまった…!」


あんなものに当たったら確実に飛ばされる。
すぐに逃げれば良かったのに、何故か逃げられなくて。
ぎゅっと目を瞑ると、突然背後から肩を抱きすくめられてそのまま後ろに引っ張られる。
はっとして目を見開いた瞬間に、耳を裂くような爆音。
目の前では炎が立ち上がっていた。


「大丈夫か?」


顔を上げると、同じチームのリンクさんがいた。
うっすらと汗をかいていて、息も少し荒かった。
距離が近いため、彼の息遣いが僕の耳元で大きく響く。
吐息が耳朶を掠める度に、僕の心臓がドキドキと高鳴った。


「大分くらってるな。これ、使えよ」


そういって渡されたのはハートの器。
自分だって100パーセントを超えているのに…。
そう言ったが、「俺は平気だから」と言って僕に使ってしまった。
あぁ、優しいなあなんて場違いなことを思わず考えてしまう。


「これで平気だな」

「あ、ありがとうございます」

「いいよ。後半も頑張ろう」


マスターソードを持って飛び上がってく姿を見て、胸がどくんと鳴る。
何だろう。この気持ち。
リンクさんに支えられていた箇所がまるで熱を持ったように熱い。
僕は言いようのない気持ちを抱えながら、相手を目指して羽ばたいた。






結局、僕達のチームは僅差で負けてしまった。
あの時、ちゃんとボム兵をよけられていれば違った結果になったのかもしれない。
そう思うと罪悪感と情けなさが湧き上がってくる。
リンクさんに迷惑をかけてしまったな…と思いながら廊下をとぼとぼ歩いていると、後ろから肩をたたかれる。


「お疲れ様」

「リンクさん」


もう、声で誰かわかる。
振り向いた僕を見て、リンクさんがにこりと笑った。


「惜しかったな。良い所までいったんだけど」

「僕のせいです。あの時、ちゃんとボム兵を避けていれば…」

「そんなことないって。それに、俺の方こそピットのこといきなり引っ張ってごめんな」

「い、いえ!リンクさんがああしてくれなかったら多分吹っ飛んでたと思うので」


思い出すと、何だか恥ずかしくなる。
密着した体。あんなこと初めてだった。
あの時のリンクさんは少しだけど汗をかいていたのに、何故かシトラスのような香りがした。


「そうか?」

「そうですよ!」

「そっか」


安堵の表情を浮かべながら、リンクさんは僕と並んで歩く。
少し背が高いから、僕は彼のことを見上げることになる。
長い耳についている青いピアスが、キラリと光っていた。


「じゃあ俺、夕食の当番だから…」

「あ、はい!」

「また一緒にチーム組もうな」


そう言うと、リンクさんはそのままキッチンへと向かって行った。
去ってゆく後姿を見てさっきも感じた、この想い。
嗚呼。どうやら僕は気付いてしまったようだ。

空のような澄んだ瞳。
黄金色の髪の毛。
太陽のように、眩しい笑顔。
大きくて、華奢な手。
抱き寄せられた時に感じた、貴方のぬくもり。


「僕は…リンクさんが……」


言いかけて、顔が熱くなる。
きっと僕の顔は真っ赤だ。
廊下に誰もいなくて良かったと思う。
この気持ちは、誰にもバレちゃいけないんだ。
でも、気付いた途端に想いが溢れて止まらない。
もうどうしようもなくなった僕は、一人で廊下に佇み、そっと肩に触れた。




に落ちるがした』



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ピット君の片想い。ほのぼのじゃないですねごめん!←
そしてうちのピット君が本当にさん付けするのはマリオとリンクだけです^q^
それ以外の人は、ピット君が心の中で呼ぶ時は呼び捨て(笑)

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