星の彼方で
はあ。と、ロイは溜め息を一つ。ソファーに座ってクッションを抱えている。
どうしたんだろう。心なしか元気がないように見える。
リンクはそんなロイを心配して、ぽんと肩を叩いた。
「どうしたんだ?」
「リンク…」
自分のことを見上げる少年の顔はなんだか暗い。
見れば分かる通り、いつもと違って元気がなかった。
外はこんなに良い天気だというのに。
リンクはちらりと窓の外を見てから、相変わらずクッションを抱えてソファで体育座りをするロイに尋ねた。
「ロイが元気ないなんて珍しいな」
「………」
返事はない。
しかし、ロイの性格からいって別に無視をしているわけではないということはわかる。
リンクはロイの横に座ると背もたれにもたれて天井を仰いだ。
コチコチと時計の針の音が聞こえるだけでお互い一言も喋らない。
暫く沈黙があった後、おもむろにロイが口を開いた。
「なあ」
「ん?」
「なんだ?」と言って、リンクはロイを見る。
ロイのことを見据える青い瞳は優しかった。
「リンクは寂しくないのか?」
「え?」
一瞬、何を言っているんだろうといった顔をする。
確かに突然そんなことを問い掛けられたら驚いてしまうかもしれないから無理はなかった。
ロイはそんなリンクから視線を外して、少し俯く。
「俺達、今回メンバーから外されちゃっただろ?」
「まぁ確かに。同じリンクでもXではトワだからな」
「トワ?」
「俺達の中ではトワとトキって呼び合ってるんだ。あいつはトワイライトの世界から来てるからトワ」
「へえ」
大分やんちゃな奴だけどな、と苦笑しながらリンク、もといトキは言う。
ロイやマルス達にとってはどちらもリンクには変わりないが、厳密に言えば彼らは住んでいる世界が違う別人なのだ。
お互いが異なる名前で呼び合っているのは、やはり別人であるからなのだろう。
いくら同じような見た目や格好でも、それぞれ異なった人格を持っているから区別しなければならない。
「トワがいなかったら良かった、とか思うことってあるの?」
彼がいなければ、間違いなくトキの方がXに参戦していただろうとロイは思う。
自分が築いてきた地位を他人に譲るのは容易いことではない。
ロイは、自分ならば仮に自分のそっくりさんが後からやって来たとしても地位は譲らないと断固たる思いがあった。
アイクを見た時は、何だか仕方ないな、という思いがあったから抵抗はしなかったのだけれど。
「どうだろう。確かにXに出られなかったのは少し残念だけど…」
そんなこと思ってたんだ、とロイは心の中で驚いた。
リンクはあまり自分の気持ちを表に出さないのでわからなかったが、そう思っていたのは意外だった。
「けど、トワが俺の分も頑張ってくれればいいかなって思ってる。色んなこと経験してあいつが成長できればそれでいいし」
そういって、リンクは笑う。
ああ、すごいな、とロイは思った。
自分達のような10代というのは、自分の思い通りに出来ることがある種の特権のようなものであって
それが奪われようものなら文句や我儘を言って大人を困らせてしまう。
流石に10代でも18歳や19歳となってくれば違うかもしれないが、まだ16歳のロイにとっては「特権」が手放せなかった。
だからXに参戦出来ないと知った時は、自分の気持ちをぶちまけるように文句を言ったり暴言を吐いたりした。
しかしリンクはロイとは対照的で、その特権を手放したかのように何も言わなかった。
我儘を言うのでもなければ、不満を漏らすこともない。
ちゃんと現実を受け入れ、それでいてトワのことを考えてあげている。
大して年は変わらないはずなのに、彼は大人なんだなとロイは感じた。
「それに…」
「?」
「皆に会えないのは寂しいけど、ロイがいるから平気だよ」
頬を少し染めて、照れくさそうに笑う。
そんなリンクを見て、ロイも赤くなる。
時折、リンクはこうやってロイをドキドキさせるようなことを言うのだった。
「マリオ達だって、ちゃんと俺達のこと忘れないでいてくれると思うから」
だから、俺達は大丈夫、とリンクは言う。
その真っ直ぐな視線が嘘ではないことを伝えているようで、ロイは少しばかり自信が持てた気がした。
「…そうだな!」
ロイは笑って頷く。
そして、なんだか嬉しくなってリンクに抱きついた。
離れていたって、この空の下で繋がっている。
それに一人じゃない。
君となら、何処へだって歩いて行ける。
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ほのぼの?あれ?(´▽`)
初めてのロイリン!
ロイはスマックスに出られなくて寂しいんだけど、時オカリンクはその寂しさを我慢して励ましてあげるみたいな。
時オカリンクは子供っぽい(7年飛んでるので)所があるけど、たまにさらっと大人な発言をしそう。
実は最初書いていたのはなんだかエロへ流れていきそうだったので新しく書き直したという裏話(笑)
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