俺は勇者なのにどうしようもないくらいペシミストだった。
否、勇者だからなのかもしれない。
世界という果てしなく壮大なものを救えという使命は、ちっぽけな俺には大きすぎる。
日々がむしゃらに戦っているものの、ふと足を止めると急激に襲ってくる不安。
俺一人でなんて無理だ。心の中ではそう思っている自分がいる。辛い。
だからこうやって、一人で泣くことだってある。
今だってそうだった。
そして、たまたま俺を探しにやって来たアイクは泣いている俺に出くわしたものだから心底驚いて、
だけど何も言わずに俺の隣に座って空を眺めていた。
泣いていることについてあれこれつっこまれるのは正直鬱陶しいと思う。
でも何も言ってこないのも少し寂しかった。
まるで俺のことなんてどうだっていいみたいじゃないか。
俺が行き場のない感情を胸に渦巻かせていると、アイクは黙って俺の肩を掴んでを引き寄せる。
「泣くな」
俺の顔も見ずに、たった一言。彼は言った。
凛とした声。肩越しに伝わるぬくもり。無音の優しさ。
それらを持ち合わせたのが今俺の隣にいるアイクであって、そんな彼に傍にいて欲しいから
俺はもう少しだけ泣いておこうと思った。
BACK