雲一つない、快晴だった。
その青い空にこれでもかというくらい、やや高めの声が響き渡る。


「リンクーリンクリンクリンクー!!」


その劈かんばかりの声に驚いたのか、木に止まっていた鳥達がバサバサと羽音を立てて飛び立っていく。
そしてひゅるるる〜っと花火が打ちあがるかのような音がしたと思ったら、ドカッと鈍い音が響く。
呼び掛けに答える間もなく、リンクの意識はぱったり途絶えた。







* * * * *







「ん…」


リンクがうっすらと目を開けると、誰かが「あっ起きた!」と嬉しそうに声を上げる。
まだ完全にまどろみから覚醒していないものの、とりあえず辺りに視線を巡らせる。
すると、ピンク色の丸いものと黄色くて尖った耳をもったものと赤い野球帽が視界に入った。
ああ、カービィとピカチュウとネスか…なんて思いつつ、少し離れた所にいるのはフォックスだろうかとか
ぼーっとした頭で考える。


「良かったーリンク動かなくなっちゃったから、僕死んじゃったかと思ったよ」

「カービィ!元はと言えばお前がいけないんだろう!」

「ピカ〜」

「けどアイク兄がすぐに運んでくれたから良かったよね」


そういってネスは笑った。
アイク…名前を聞いて、リンクは大きな剣を携えている自分よりも体格の良い青年を思い出した。
マルスの蒼とは違い、深い海のような蒼い髪をした青年。
口数は多い方ではなく、実をいうと同じ剣士であるにも関わらずリンクも話をしたことがあまりなかった。
話しかければそれなりに返答は返ってくる。
しかし、リンクも口が達者ではなく、どちらかといえば内気な方だった。
故にアイクと親しいかどうかと問われたら、肯定はしがたかった。
リンクは起き上がると問い掛ける。


「あの、アイクが俺を運んで…?」

「ああ。カービィがリンクの頭に激突して倒れたところ、偶然通りかかって」

「アイクってばすごいんだよ!リンクのことひょいって抱き上げちゃうんだもん!」

「お姫様抱っこっていうの?僕もあれだけ背が高ければなあ…」


ネスがぽわーんとした口調で呟く。
どうやら彼も人並みに悩みを抱えているのかもしれない。
擦り寄ってきたピカチュウを撫でながら、リンクはアイクにお礼を言わなければならないな…と考えていた。


「ねぇねぇ、そんなことより遊ぼうよ〜!」

「こらっ、リンクは頭を打ったんだぞ!もう少し安静にしてなきゃ…」

「いや、たくさん休んだし…もう大丈夫」

「けど…」

「ハイラルの勇者がみんなに迷惑かけるわけにいかないし」


苦笑しつつ言うと、フォックスも「まあな」と言って苦笑する。
ドアを開けながらカービィが「早く早く!」とリンクを呼び立てる。
ネスとピカチュウがリンクをベッドから引っ張り出し、勇者は外へと借り出されていった。
パタンとドアが閉まると、先程まで騒がしかった部屋が一気に静かになる。
フォックスは閉ざされたドアを見て一息つくと、ベッドのシーツを直してカーテンを開けた。
差し込んでくる日光に心地よさを覚えつつ、フォックスも部屋を後にした。






* * * * *






「ネスー!ボールそっちに行ったよー!」

「オーケィ!それっ、リンク!」

「わっ、と…ピカチュウ!」

「ピッカ〜」


青い空の下、4人はバレーボールをしていた。
ピカチュウは2足歩行でないにも関わらず、尻尾を使って器用にボールを返してくる。
たった一人でハイラルとトワイライトの世界を救うことに必死だった頃と比べると、随分とゆとりが持てるようになったと思う。
こうやって青空の下で遊べる日が来るなんて思ってもみなかった。
ただ、今まで一人だった故に付き合いが上手くないせいもあり、周りの皆とも上手く馴染めずまだ一線を引いてしまっている。
だが少しずつ距離を縮められればいいと、リンクはそう思っていた。


「あっ、ごめん!ちょっと飛ばしすぎちゃった!」


ネスがホームランバットを抱えつつ謝る。
言われてみれば、随分遠くまでボールが飛んで行っているのが見えた。


「俺、取りに行ってくるよ」

「でも僕が飛ばしちゃったから僕が…」

「気にしなくていいって。ちょっと行ってくる」


ネスをあやすように笑って言うと、リンクはボールが飛んで行った方へ駆けて行った。
ボールを飛んで行った方向を見ていたから、その方に進んでいけばあるはずだ。
そう思って歩いていると小高い丘についた。
小さな花がそよそよと風に吹かれて揺れている。


「確かこの辺だと思うんだけど…」

「お前が探しているのはこれか?」

「あっ…アイク!」


振り返るとそこにいたのはボールを持ったアイクだった。
アイクは無言でリンクに近寄るとボールを手渡し、リンクもそれを受け取った。


「あ、ありがとう」

「別に。転がってたからな」

「そ、そっか」


ハハっと笑うがそれ以降言葉が続かなかった。
アイクも黙っているため、必然的に沈黙が流れる。
風の吹く音と、鳥の鳴き声だけが時間の流れを告げていた。
なんだか気まずくなって、リンクは口を開ける。


「あ、あの」

「何だ?」

「さっき、俺のこと運んでくれて…」

「あぁ。そういえばそうだったな」


さらっと言われてしまい、リンクがぐっと詰まる。
しかし負けじと二の句を繋げる。


「ごめん、俺重くて…」

「大したことない」

「………」


ばっさりと斬り捨てられる。
そして再び流れる沈黙。
口下手なリンクはもうどうしようもなかった。
アイクがつっけんどんな態度をとるのは別に悪気があるからではなくて、元々彼はこういう性格なのだ。
ダークリンクのように寡黙で、内側に熱い思いを秘めている分表には自分の感情をあまり出さない。
そうわかっているのに、上手くコミュニケーションがとれない悔しさともどかしさがリンクの中で入り混じる。
カービィのように天真爛漫とはいわなくても、皆のように上手く人と接することが出来ればいいのに。
そう思うとなんだか情けなくなってきた。
ハイラルの勇者が「自分のコミュニケーション能力のなさに泣きべそをかく」なんてみっともない。
こんな所で泣くわけにはいかないと思いつつリンクはボールを握る手にぎゅっと力を入れた。


「あの、は、運んでくれてありがとう」


俯きながら言うと、アイクの目を見ずにカービィ達の元へ戻ろうと走り出す。
はずだった。


「うわっ」


ぐらりと視界が揺れる。
アイクに腕を引っ張られ、そのまま草の上へと倒れこむ。
腕を引っ張られた拍子にアイクの腕を掴んでしまったため、彼もまたリンクの上に倒れこんだ。
アイクの端整な顔が至近距離にあり、思わずリンクの顔が赤くなる。


「あのっ、アイク…!」

「何故…俺の顔を見ない?」

「え…?」


痛いところを突かれたように思う。
アイクは人のことを注意深く見ているんだな、とリンクは頭の片隅で考えた。


「別に見ないとかじゃなくて…」

「さっき俺から目を逸らしていただろ?」


あれはアイクの顔を見ていたら上手く話せない自分が惨めに感じて、などと言えるわけがない。
言えたらどんなに楽だろうか。
リンクが黙っていると、アイクが顔を近づける。


「俺のことが嫌いか?」


深海のように深い蒼い瞳に吸い込まれてしまいそうだった。
リンクはただ何も言えず、アイクを見据えていた。
しばらくしてからアイクは黙って立ち上がると、膝についた草を払ってそのままスタスタ歩き出す。


「あっ…」


ダメだ。待って。
リンクも慌てて立ち上がりボールを拾うと、アイクを追いかけずに叫んだ。


「き、嫌いじゃないから!」


ゆっくりと振り返ったアイクの顔は少し驚いているような顔だった。
そんなアイクの顔を見つつ、もう一度ぽつりと呟く。


「アイクのこと…嫌いじゃないよ」


世界を救うにおいて出会いと別れが多く、他人と深い付き合いをしてきたことがなかったリンクは
人を好きになる、嫌いになる、ということがいまいちよくわからなかった。
ただ、アイクに関しては違う。
どういう感情が好きというものなのかはっきりと説明することは出来なくても、嫌いではないことは伝えなければならない。


「わかった」


アイクは口元だけで微笑むとそのまま丘を下って行った。
初めて見るアイクの微笑み。
思い出して顔が熱くなり、どうしようもなくなったリンクはその場にしゃがんで一輪の花を摘んだ。




れすぎた


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リンクが乙女すぎる件について\(^q^)/
リンク→アイクみたいになってるけど、実はアイクもリンクのことが少し気になってればいいなとか。
ゲームの中でリンクは一言も喋らないので、口下手なのかなーとか思ってま…す。勝手に。
したがってうちのサイトのリンクはもがもが喋ってます(そんな勇者やだよ!)

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