リトルチック・ブラックアウト




学校に登校して教室に行き、席に着く。
クラスは3年X組。
毎日当たり前のように繰り返している行為であるが、今日は何かが違うとマルスは思った。
クラスの雰囲気が昨日よりも騒がしいのだ。
それもそのはず、どうやら新しい教師がこの高校にやって来ると言うのだ。
しかもその教師が自分のクラスの担任になるときた。
クラスが落ち着かないわけがない。
席に着いたマルスの下に、ピットがてけてけと小走りで寄ってくる。


「マルスさん!聞きました?新しい先生が来るって」

「聞かなくたって、カービィがあれだけ騒いでいるの見たらわかるよ」


苦笑しながら言うと、「ですよね」と言って彼もつられて苦笑する。
カービィがこのクラスにいる限り、情報は光の如く広まっていくのだ。
職員室に言って詳細を聞くよりも早く情報を得ることが出来る。
まあカービィの言うこと全てが正しいというわけでもないのだが。


「けど、どんな人が来るか楽しみですね」

「そうだね。…あ、そういえば結局ルイージ先生は入院したの?」

「胃潰瘍らしいからな。入院してゆっくり休むのが一番なんじゃないかい?」


マルスの問いに答えたのは、ピットではなくシークだった。
気がつけば、マルスの隣であるゼルダの机に座って脚を組んでいる。
いつからそこにいたのか知らないが、とりあえずマルスは「やあ」と挨拶しておいた。


「ルイージ先生、胃薬飲んでましたしねぇ」

「一度に胃薬を瓶の半分も飲むのも凄かったけど…」

「きっと教師の間にも色々問題があるんだろう」


シークの言葉にマルスとピットは納得したような顔をする。
教師と言っても、生徒達に勉強を教える以外にもたくさんの仕事があるのだろう。
職員の中にはきっとヒエラルキーも存在するのだろうし、ルイージ先生が胃潰瘍になるのもわからなくはない。
あぁ、教師にはなりたくないな…と三人は心の中で思った。


「ところで…カービィ達はさっきから何をしているの?」


教室の入り口で、カービィやトゥーンリンク達が集まって何やらひそひそ話し合っている。


「あぁ、なんか悪戯するとか言ってましたけど…」

「悪戯?」

「いつものことだろう?トゥーンとかと一緒になってやってるんだ」

「へぇ」


そういってまたカービィ達に視線を戻す。
入り口の近くにあった机の上にのっかり、何やら作業をしている所だった。


(教師ってほんと大変だな…)


彼らの悪戯の餌食になる新任教師に同情しつつも敢えて止めはしないマルスだった。






* * * * *






「ねぇねぇ!そろそろ先生来るっぽいよ!」

「ほんとに!?」

「さっき職員室にテーサツに行ってきたんだけど、ホームルームの時間に挨拶しましょうって話してた」

「そっか〜楽しみだなぁ」


先程悪戯をしかけていたカービィ、トゥーン、ネスは楽しそうに笑っている。
しかしその中でリュカだけは何処か落ち着きがなくおどおどしていた。


「ね、ねぇ、本当に大丈夫かな?」

「大丈夫だって!」

「そうそう、リュカは気にしすぎだよ〜」

「で、でも…!」


そんなやり取りをマルスは自分の席から見ていた。
そして、自分の隣の席で頭の後ろで手を組みながらあくびをしていたアイクにそっと問いかける。


「ねぇ、アイクはどんな先生が来ると思う?」

「さぁな。とりあえず、胃潰瘍にならなければ誰でもいいんじゃないか?」

「確かに」


アイクの答えに笑いながら頷く。
そんな時、コツコツを教室に向かって歩いてくる音が聞こえた。
もうすぐホームルームが始まる時間であるから、おそらく新しくやってきた教師なのだろう。
カービィ達が嬉しそうに声を上げる。
そして扉が開き、教室への一歩が踏み出された瞬間にたらいが落ちる。
落っこちてきたたらいは、バガーンという耳を劈くような派手な音を立てて入ってきた教師の頭に激突した。


「いえーいやったー!って……」


虚しく宙を舞うトゥーンの握り拳。
次にはどさりと何かが倒れる音。


「………あれ…?」


そしてシーンと静まり返る教室。


「きゃー!!」


ナナの叫び声で正気に戻ったのか、皆ばたばたと入り口へ駆け寄る。
そこには落ちてきたたらいと、それによって気を失った人物が仰向けに倒れていた。
出席簿や連絡事項が書かれたプリントを入れているクリアファイルも一緒にあることから
新しくやってきた担任であることがわかる。


「もう、貴方達は何をやっているのよ!悪戯したらダメって言ったじゃない!」


カービィ達をきっと睨みつけながらサムスが抗議する。
流石に気を失うと思っていなかったのか、悪戯を仕掛けた当の本人達も反抗はしなかった。


「とりあえず保健室に…!」

「俺が連れて行く」


慌てるピットを尻目に、アイクは気を失った担任を抱え上げる。
ゼルダは落ちてた出席簿とクリアファイルを拾い上げると、アイクを見て小さく頷いた。


「俺が戻ってくるまで、お前らは大人しく教室にいろ」


そう言い残して、アイクは保健室へと向かっていった。



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前からやりたかった学園もの。
リンク先生何も喋らず(笑)
そしてさり気なくアイリンを主張(´▽`)
リトルチックのチックは、メルヘンチックとかのチックじゃなくてひよこのことですよ。


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