それはある晴れた日の昼下がりの出来事。
カービィとリュカ、ネスがそれぞれ色違いの棒付キャンディを片手に廊下をスキップしている時だった。


「ねぇ、声が聞こえない?」

「声?」


リュカの声にカービィが飴を舐めながら怪訝そうな顔をする。
超能力が使えるからなのか、目の前の少年はどうにも些細なことに敏感なようだった。


「ネスは聞こえない?」

「うーん……。あの部屋かな…?」


暫く考え込んだ後一つの部屋を指差す。
それはピットとロイの部屋だった。
3人はネスが指を指した部屋へ近づくと、そっとドアへ耳をつける。


「此処、気持ちいいですか?」

「ぁ…ピット……」


声の主は部屋の主であるピットと何故かリンクのものだった。
ピットの部屋にリンクが遊びに来ているのかな、と思いつつも3人は中の様子を知ろうとしてドアにへばりつく。


「ふふっ、じゃあ此処は?」

「あっ…ん……ッ…!」

((( えええええええ!? )))


なんだか様子がおかしい。
恥ずかしくて口には出せないけれど、3人は心の中でそう思った。


(ちょっ、ねぇ、あの2人何してるの…!?)

(何ってそんなの…!)

(ピットって天使なのに実は……)


ひそひそ話していると、マルスとファルコが通りかかる。
ドアの目の前で内緒話をしている3人を見て不思議に思ったファルコが口を開いた。


「お前達そんな所で何してるんだ?」

「あ、ファルコにマルス…!」


3人はキャンディを片手に振り向いて驚くが、そんな3人を見てマルスはにこりと笑った。
相変わらず爽やかな笑みである。


「此処、ピットとロイの部屋だよね?用があるなら中に入ればいいのに…」

「「「だめー!!」」」


ドアノブを掴もうとするマルスの手を、3人は小声で叫びながら制す。
そんな3人を見てファルコとマルスが頭の上にはてなマークを浮かべると、中から声が響いた。


「や、ぁっ…!ピット……ッ…!」

「此処もちゃんとしないと…。後で辛いのはリンクさんですよ?」

「でもっ…ん、くッ、ぁ…あっ……!」


突然聞こえてきた声にマルスとファルコはぎょっとして目を見開く。
何だ、これは。一体どこぞの昼ドラマだ。
しかしそんな彼らを無視して、部屋の中からはシーツが擦れる音が聞こえてくる。


(この真っ昼間っから、彼らは一体何をしているわけ?)


怒りマークを浮かべながら、マルスが問い掛ける。
マルスの背後ではゴゴゴゴゴ、と音を立てながら何か黒いものが渦巻いていた。
この時のマルスに最早王子の面影はない。
隣ではファルコが引きつった笑みを浮かべている。


(僕達だって知らないよ!)

(ていうかマルス怖いよ…!)


ひいい、とリュカが涙目になるも、マルスはお構いなしで黒オーラを撒き散らす。
嗚呼、どうしてこんなことに。ファルコは心の中で泣いた。
ドアの外では大変なことになっているのに、部屋の中ではそんなこと露知らず。
相変わらずの調子で、しまいには荒い息遣いまで聞こえてくるようになってきた。


「リンクさん、声、我慢しなくていいですよ?」

「や、だ…っん、ぁ…ッああ…っ…!」

「こうされるの好きですよね」

「やめっ……痛、ぁ…ッ…!」

(そろそろこのドア蹴破ってもいいかな?)

(いやマルス落ち着け…!)


ボキっと手を鳴らすマルスを見てファルコが慌てて止める。
リュカに至っては、マルスのあまりの黒さに怯えてファルコの後ろに隠れており、
ネスとカービィは相変わらずドアにへばりついて聞き耳を立てていた。
何だかんだでモノ好きなスマックスメンバーである。
そんな時、ふと気がつくと背後に誰かが立っている気配。


「貴方達…何をしているの?」


上から降ってくる呆れた声。
5人が振り向いて見上げると、そこにはサムスが立っていた。
長いブロンドを上で一つに纏め上げており、白いパフスリーブのシャツから細い腕がすらりと伸びている。


「ドアの前にへばりついて…。怪しすぎるわよ」


そういって呆れた顔で5人を見据える。
確かにドアの前で5人もの人+@がごそごそと何かをしていたら怪しい以外何でもない。
サムスじゃなくても、呆れるところだろう。
しかし何も知らないサムスは、「用があるのなら開ければいいじゃない」と、マルスと同じことを言ってドアノブに手をかける。
5人が「あっ」と思って止めようとした瞬間、ピタリとサムスの動きが止まった。


「あっ…ゃ、ピット……」

「リンクさん、気持ちいいですか?此処、こんなに硬くなってる…」

「っああ…っ!やめ、そこは…ッ…!」

「怖がらなくても大丈夫ですよ。すぐに良くなりますから…」

「あっ…や、ぁっ…もう……頼むから…ッ…!」


ドアノブを握るサムスの手がわなわなと震え、そんなサムスを見てリュカとネスも震える。
そして何を思ったのかサムスの右足がすっと上げられ、それを見たネス、リュカ、カービィは思わずドアの傍から離れた。


「まさか…!」


ファルコとマルスはしまったという顔をするが、既に時遅し。


「貴方達……昼間から何してるのよ!!!」


ファルコとマルスが止める間もなく、ドガァンと物凄い音がしてドアが蹴破られた。


((( ぎゃあああやっちまったーー!!! )))


と、5人は声にならない悲鳴を上げる。
パラパラと音を立てながら、木のドアが跡形もなく崩れ去っていた。
どうするんだこれ…と散らばるドアの破片を見て5人は自問する。
しかしサムスそんなことはお構いなしでずかずかと中に入り、目の前の光景に目を丸くした。


「え…嘘……っ…」

「サ、サムス?」

「一体どうしたんですか…?」


今サムスの目の前にいるのはベッドにうつ伏せに寝そべっているリンクと、そのリンクに跨っているピットの姿だった。
ピットの両手はリンクの肩に親指を押し付けている形で置かれている。
当たり前だが、突然の出来事に2人共目を丸くしていた。


「あ、貴方達…何をしているの……?」

「何って、マッサージですよ。リンクさん、肩がこってるって言うから」

「マッサージ!?」


ピットに言われてサムスは目を見開く。
あの状況下でマッサージと言われて誰が納得出来るであろうか。
サムスは酷く動揺しているようで、額に手を当てている。
2人は起き上がるとベッドに座り直し、サムスはそんな2人を交互に見る。


「マッサージって…じゃああの破廉恥な声は……!」

「は、破廉恥って!」


サムスの言葉にリンクの顔がぼわっと赤くなる。
そんなリンクを見てピットはクスクスと笑った。


「リンクさん、すぐエッチな声出すから。そりゃ勘違いされちゃいますよね?」

「ピット!!」

「だって事実じゃないですか。それに、そんな真っ赤な顔で怒られても全然怖くないですよ」

「〜〜〜〜ッ!!」


ああ、なんだ。マッサージね。
5人は無残な姿になったドアの破片を拾いつつ、部屋の中にいる3人を見据える。
安心したようながっかりしたような複雑な気持ちになるも、とりあえず一件落着だなと思った。
が―


「ところで…僕の部屋のドア壊れちゃってますよね。あれ、どうしてくれるんですか…?」


鳥人族に鍛えられたサムスの一蹴りによって、ピットの部屋のドアは見事に蹴破られてしまった。
確かにいきなり自分の部屋のドアを壊されたら誰だって怒るだろう。
ピットはにっこりと笑みを浮かべているものの、その笑みは黒い。
場の空気は一気に氷点下まで下がった。


「あ…あぁ、そうね。修理しないといけないから…暫くはリンクの部屋で寝たらどうかしら?」

「ええ!?」


にこりと笑ってサムスは提案するが、その笑顔は何処かぎこちない。
そして突然自分の名前を出されたリンクはただただ驚いた。
はっきり言って、リンクには何の落ち度もない。


「ちょ、そんな急に…!」

「仕方ないじゃない。2、3日の辛抱よ」

((( ていうか元はと言えば誰の責任なんだよ )))


そんなオーラが背後から漂ってくるものの、サムスは敢えてそれを無視した。
ピーチ姫のように人差し指を立てるが、サムスがそういうキャラじゃないことを皆は知っている。


「またピットにマッサージしてもらえばいいじゃない」

「そうですよ」


にこっと笑って、ピットはリンクに寄り添う。
そして耳元に顔を近づけると、他の人には聞こえないように囁いた。


「眠れないくらい気持ちよくしてあげますから」


言い終わるや否やさり気なく耳朶に口付けられて、リンクの背中を嫌な汗がつっと流れる。


「3日間、よろしくお願いしますね。リンクさん」


目が合って再び微笑まれるが、対照的にリンクの顔は引きつる。
嗚呼…どうしてこんなことになったんだ。あれ?俺、何か悪いことした?
そう問い掛けてみても、答えてくれる人は誰もいない。


((( リンク……ドンマイ………強く生きるんだ… )))


入り口付近にいた5人は、心の中でそっと手を合わせた。
3日後にリンクが元気であることを祈って。






付きな天使


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ありがちネタ…!ってかこれすぐにオチわかってしまうよな…。
サムスさん大暴走(笑)
そしてピット君も大暴走。黒!
何故こんなことになったのか…(((゚д゚)))

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