第一印象は「ああ、こいつが」という感じだった。
噂には聞いていたハイラルの勇者。
緑の衣、青い瞳、金色の髪。
全てが聞いていた通りで、自分が思い描いていた人物像とはそうかけ離れてはいなかったように思う。
「アンタがアイク?」
「ああ」
「俺はリンク。今日は一緒のチームだから…よろしくな」
そういって、ふいと逸らされる視線。
人付き合いはあまり得意ではないらしく、口数もあまり多くはなかった。
この日は初対面だったにもかかわらず、俺達は同じチームを組まされ、乱闘へと挑んだ。
戦闘のスタイルは自分とは異なっていたが、決して弱い方ではない。
世界を託された勇者なだけはあるな、と思った。
それだけだった。
なのに、こうも変わってしまうなんて誰が思っただろうか。
それはある晴れた日の午後で、特に何の予定もなかった俺がたまたま書斎へ入った時だった。
誰もいないのかと思いきや、偶然にもリンクがいて。
しかも少し背伸びをして、高い所にある本へと腕を伸ばしている所だった。
踏み台がないからそうしているのだろうが、なんだか一生懸命で少し可笑しかった。
本をとってやろうと思って近づくと、突然の背後の気配に驚いたのか、リンクがハッとして振り返る。
その拍子に本が引き抜かれ、乱雑にしまわれていたのか他の本まで一緒に落ちてくるという始末だった。
咄嗟にリンクの肩を抱いて自分が本棚に背を向ける。
ふわり、とシトラスの香りがしたのは気のせいだろうか。
バサバサと音を立てて落ちてくる本を背中に受け、それが思いの外痛くて少し顔を歪めつつもリンクを庇った。
どのくらいの量の本が落ちたのかは知らないが、パタと本が倒れる音を最後に部屋が静寂を包む。
俺はゆっくりと体を離した。
「大丈夫か?」
「ッ―あぁ…」
相変わらず少し俯きながら、リンクは言う。
こいつはいつもそうだった。何故か目を見ようとはしない。
それが俺だからなのか、それとも他のやつらに対してもそうなのかはわからなかったが。
しかし別に俺のことが嫌いだからと言って、リンクを責めるつもりはない。
好き嫌いなんて、人それぞれだと思っていたからだ。
そんな時、リンクが声を上げる。
それは少しばかりの戸惑いを含んだ声だった。
「あの…」
「?」
「その…あ、ありがとう…」
ちらりと俺を見やる、透き通った青い瞳。
俺の方が背が高いため、リンクは必然的に上目遣いになる。
普段目を合わせることがなかったこともあって、見つめられて思わず心が跳ねた。
ドクン、と胸が鳴る。
何だ、この気持ちは―
俺が何も言えないでいると、リンクはまたいつものように視線を逸らして落ちた本を拾い始めた。
その姿を見て、どういうわけか先程の出来事が鮮明に浮かび上がってくる。
抱いた時に初めてわかった、細い肩。
マルスほどではなくとも、男にしては白い肌。
ほんの少し触れた、柔らかい髪の毛。
そして、吸い込まれそうなほど澄んだ瞳。
「そんなとこに立ってないで、アイクも手伝ってくれよ」
リンクの声に現実へと引き戻される。
はっとして声の主を見れば、本を抱えて俺の方をじっと見ていた。
「あ、あぁ。悪い」
同じようにしゃがみこんで本を手に取る。
そういえば、さっきはこれが落っこちてきたのか。
そう思いつつ、床に散らばった本を拾っては本棚へと綺麗に並べていく。
背中の痛みなんて、もうとっくに忘れてしまっていた。
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見切り発車的な感じで連載スタート(笑)
恋に落ちる瞬間。
でもそれに気付かない団長(´▽`)
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