「マルス!」


大声で自分の名前を呼んだのはリンクだった。
走ってきたのだろうか、ハァハァと肩で息をしている。


「どうしたの?そんなに慌てて」


僕は読んでいた本を閉じてリンクに問いかける。
リンクがいると、どうも本を読むのが退屈になってしまうのはいつからだったかな。
まぁそんなこと誰にも打ち明けていないから彼が知るはずもないんだけど。
そんなことを頭の中で考えていると、リンクが拳を握る。


「4月20日ってマルスの誕生日なのか!?」


あぁ、そうだ言われてみればそうだった。
何歳になるんだっけ?
この年にして最早誕生日の存在を忘れつつある僕はある意味年なのかもしれない。
けど確かに4月20日は僕の誕生日だ。


「うん、そうだよ。覚えてくれてたなんて、嬉しいな」


僕はすっかり忘れてたけどね、なぁんて思いつつもにこりと微笑む。
すると、リンクはやっぱり、とでもいいたげな若干落胆したような顔になる。


「どうして言ってくれなかったんだよ!そんな大事なこと!」

「ごめんごめん」


彼をあやす様に謝るが、別に誕生日を祝ってもらわなかったからって落ち込む程僕も子供じゃない。
そりゃ確かに自分の生誕を祝ってもらえれば嬉しいけれど、別に祝ってくれと言ってまで
祝って欲しいかと問われたらそれは微妙だった。
だから僕は自分の誕生日のことを言わなかった。
といっても、当の本人が忘れてたんじゃ全然意味ないけどね。


「せっかくだから誕生日会とかやろうぜ。ピーチ姫に頼めばケーキだって焼いてくれるだろうし」


そういって、リンクは楽しそうに笑う。可愛いな。
自分のことなんて二の次で、人を喜ばせることが好きだってことは良く知っている。
優しいっていうのはきっと彼みたいなことを言うのだろう。


「いいよ、そんなの。なんだか悪いし」

「いいって!大事な日だろ?」


まぁ確かにそうかもしれないけど、今更祝ってもらうのも何だかな…。
でもそんなことを言ったらリンクは確実に傷つくだろうし。
どうしようかな、と口元に手を当てて考える。
あ、そうだ。


「ねぇリンク。別に皆でお祝いしてくれなくていいから、リンクが1つだけ僕にプレゼントをくれない?」

「えっ?まぁ、いいけど…。マルスがそれでいいのなら」


リンクはにこりと微笑む。
つられて僕も微笑むと、僕の前に立っているリンクの腕をぐいっと引っ張った。
当然の如くバランスを崩し、ソファーに座っている僕の下へ倒れこんでくる。
とはいっても別に僕がリンクに押し倒されるわけでもなく、リンクが僕の膝の上に乗るような体勢だ。
僕はリンクを掴んだ腕は放さず、開いている手で彼の首もとに手をかけて顔を引き寄せる。
あと少しで唇が触れるんじゃないかってくらいの近さになり、リンクの顔がかぁっと赤くなる。
相変わらず初心だよね。君は。
まぁそんなところが好きなんだけど。
そして彼にしか聞こえないであろう小さな声で囁く。


「君が欲しい。あらゆる意味で君を全部僕にちょうだい」


ごめんね、僕は王子だからこう見えて少しばかり強欲なんだ。
他の誰にも渡したくない。
君を独り占めしたいんだ。


「ダメかな?」

「ダメ…じゃ、ないけど…!」


少し顔を離してやれば、茹蛸のように顔を真っ赤にしているリンクがいた。
あーあ。君ってほんと可愛いな。
男に使う形容詞じゃないってわかってるけど、それ以外に思い浮かばないのが残念。
なんだか可笑しくなって、一人でクスクスと笑ってしまう。


「じゃあキスしていい?」


ダメって言われてもするけどね、なんて思っていたらリンクが顔を俯かせながら小さく頷く。
そんなに恥ずかしがることないのに。
きっと初めてなのか、リンクは少し不安そうな顔をする。
やだな、キスなんだからそんなに怖がることないって。
舌入れてみようかな?とか色々考えを巡らせつつ、薄く開いたリンクの唇に自分のものを重ねた。




我儘な僕だから


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今更ながら王子誕生日ネタ。
今回は王子視点で!口調これでいいのか…(^ω^;)
そしてうちの小説はキスしてるのが多いと思った。
似たり寄ったりだ…!


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