ボーダレス・アイラヴユー
「ねーリンクはキスしたことある?」
「ぶっ」
思いもよらないネスの問いかけに、リンクは飲んでいた紅茶をぶばっと噴出した。
そんなリンクを見て、ネスは「汚いなあ」などと言う。
そうなったのは自分のせいであることを棚に上げて。
リンクはごほごほと咳き込んだ。
「なっなんだよいきなり」
「だってCMでファーストキスは桃の味って言ってたんだもん!だから本当かなあと思って」
「あぁ、あれか…」
ファーストキスは桃の味。
このフレーズは、某有名お菓子会社の商品であるキャンディのCMで謳われているフレーズだった。
10代前半と思われる、元気の良さそうな女の子が飴を片手にウインクをしながらそう言うのだ。
ネスはこのCMを見たために、先程の質問をリンクに投げかけたのだろう。
「ファーストキスは桃の味って本当かなあ?」
「ははっ」
「リンクはどうだった?」
「えっ…!」
どうだった?と聞かれて、どきりとする。
本音を言えば、リンクは今までキスをしたことがなかった。
もしかしたら「実はもう既に誰かとしていて、ただリンクがそれを忘れているだけ」という可能性も
無きにしも非ずなのだが、記憶を辿ってみてもキスをした覚えはないし、思い出せない。
「ど、どうだったかな…。もう昔のことだから忘れちゃったよ」
「えー!?」
ハハハ、と若干引きつったような笑みを浮かべながらリンクが言うと、ネスは顔を顰める。
「ファーストキスって忘れちゃうものなの!?」
「いや…忘れるって言うか…」
まだしたことがないし、とは言えなかった。
見栄とプライドが邪魔をして本音を言うことが出来ない。
確かにリンクは17歳で、ネスにとってリンクはもう大人と同じようなものだった。
考え方も行動も全てが格好良くて、自分が知らないこともたくさん知っているように思える。
それに、リンクは女の子からモテモテだった。
お花屋さんのあの子もケーキ屋さんのあの子も皆リンクが素敵だのカッコイイだの言っているのをネスは知っている。
だからキスなんてとっくの昔に済ませてしまっているんじゃないかとネスが思うのも無理はなかった。
「ねーどうなのー!?」
「お、落ち着けって…」
ネスにまくし立てられてしどろもどろになっていると、マルスとピーチ、ピカチュウが通りかかる。
何やら只ならぬ気配を感じて、ピーチは問いかけた。
「2人ともどうしたの?」
「あっピーチ姫ー!リンクがー!」
「なっ!?お、俺何もしてないだろ!?」
いかにもリンクがネスをいじめたような言い方で、リンクがあせる。
確かに、リンクはネスに対して何もしていない。
「リンク…小さい子をいじめるなんて良くないよ」
「ピカ〜」
「だから俺じゃないのに!」
「あらあら。じゃあ、お話を聞こうかしら?」
ネスの頭をよしよしと撫でながら、ピーチは居間へ移動することを提案した。
* * * * *
「なるほど。つまり、ネスはファーストキスの味が知りたいんだ?」
「うん。だって本当かなって思って」
「まぁ!おませさんね」
マルスの言葉にネスはこくりと頷く。
そんなネスを見て、ピーチは口元に手を当てて笑った。
リンクはピカチュウを抱っこしながら、そんな3人を黙って見ていた。
マルスとリンクはソファーに座っていて、ピーチとネスはテーブルを挟んで絨毯の上に座っている。
テーブルにはピーチが淹れた紅茶とクッキーが置いてあり、紅茶はカモミールティーだった。
ネスは紅茶があまり好きではないようで、オレンジジュースを飲んでいる。
「ファーストキスだなんて…ネスもそんなお年頃なのね」
「僕だって一応男だもん」
「確かに。男なら、好きな子のファーストキスは奪いたいって思うからね」
マルスはすらりと長い脚を組みなおして言った。
そんなマルスを見て、剣士らしくない、華奢な体格だなあとリンクは思う。
もちろん口には出さないけれど。
ネスはずず、と音を立てながら残り少ないオレンジジュースをすする。
ピカチュウがクッキーに向かって小さな手をひょいひょい伸ばすので、リンクは小さめのクッキーを一枚摘むと
それをピカチュウにあげた。
「ネスは好きな子とかはいないのかしら?」
「うーん」
はっきり言って、この屋敷の中では圧倒的に男が多い。
そのため、この中で恋愛をするのは少々難しいような気もしなくはない。
「好きな子が出来るまで、ファーストキスはとっておいた方がいいわよ」
「そうなんだけど…。でもやっぱり気になるー!」
好奇心に満ち溢れている年頃ということもあり、ネスは気になって仕方がないようだった。
リンクもあわあわと慌て出す。
元はと言えば、自分がちゃんと答えれば良かったのだ。
なのに今ではピーチとマルスまで巻き込んでしまって…。
少しばかり罪悪感に苛まされていると、マルスが突然にこりと笑う。
「じゃあ、試してみようか?」
「えっ?」
驚いたのは、ネスじゃなくてリンクだった。
ぐい、と肩を押され、気がついたらソファーに押し倒されている。
そして目の前には微笑むマルス。
突然の出来事にわけがわからなくなって、思わずぎゅっと目を瞑る。
その瞬間―
ちゅっ
可愛らしい音がして、唇に感触。
でも何かが違う。
なんだろう。この鼻をくすぐるふわふわした感触…。
リンクが恐る恐る目を開けると、今度は鼻に口付けられた。
「えっ…!ピ、ピカチュウ!?」
「チャー」
嬉しそうに頬をすり寄せてきたのは、今までずっとリンクの腕の中にいたピカチュウだった。
状況を見ればわかる通り、キスをしたのはマルスではなく、ピカチュウだったのである。
リンクが抱っこしていたのだから、当然ピカチュウも倒れたリンクに抱かれたままなわけで。
普通に抱いていたら届かなかったものの、リンクが倒されたためにピカチュウも口元に届いたのだろう。
「うふふ、ピカチュウも男の子ね」
ピーチはにこりと笑う。
いや、俺も男なんだけど…とリンクは突っ込みたかったが、そこは敢えて空気を読んだ。
マルスがどくと、リンクものろのろと起き上がる。
ソファーに座りなおすと、ピカチュウはリンクの膝の上に乗った。
「リンク、ピカチュウとのキスどうだった?」
「ど、どうって言われても…!」
「桃の味した?あっでもファーストキスじゃないもんね。残念」
尋ねておきながら自己完結。
リンクはそんなネスを見て苦笑した。
あぁ、なんとか無事に終わりそうだ…とリンクは安堵の息を漏らす。
その時、マルスはわざとらしく残念そうな声を上げて言った。
「僕もリンクのファーストキスが奪えなくて残念だったな」
「!!」
「え?」
ぼっと顔を赤くするリンク。
怪訝そうな顔をするネス。
そんな3人を見て、ピーチはくすくすと笑う。
ピカチュウはと言えば、リンクの膝の上で小さなあくびをしていた。
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あれ、ピカリン…?(´∀`)アレレレ
全然ギャグになってなくてすいません。あああ何たる失態^q^
とりあえずこのリクを頂いた時は「絶対ピカチュウにキスをさせるぞ」と思っていたのでキスの話になったわけですが…。
ピカチュウはリンクに懐いているといい!
因みにピカチュウは♂、プリンは♀というイメージがあるww
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